障害は遺伝するの?家系や兄弟で遺伝する確率は?検査方法はある?
大切な我が子にもし障害があったらどうしよう…
そんな漠然とした不安に駆られる事、ママやプレママなら誰でも経験があるのではないでしょうか。
両親共に障害がなかったとしても、子どもが障害を持っている事もありますよね。
この障害、一体何が原因で起こるのでしょうか。
遺伝する確率や検査方法などを、まとめてみました。
目次
障害ってどんなものがあるの?
障害には様々なものがありますが、大きく分けると2つの種類に分けられます。
それは、身体的な障害と知的障害です。
身体的な障害では、体の一部が欠損または変形していたり正常に機能しない事を指します。
知的障害では、何等かの理由で知的能力が正常に成長しない事を言います。
どちらの場合にも先天的な障害と後天的な障害があり、生まれつき障害を持っている場合もあれば成長過程で事故や病気により障害を持つ事になるケースもあるのです。
多岐に渡る障害が確認されていますが、ここでは知的障害についてご紹介していきたいと思います。
知的障害の種類
知的障害は約18歳までに生じるもので、判断や記憶、思考などの認知能力が遅れている状態を言います。
様々な理由から障害を発症するケースがあり、障害の内容にも多くの種類が確認されています。
その代表的なものを見てみましょう。
- 発達障害
- 自閉症
- ダウン症
- てんかん
- 注意欠陥多動性障害
- 学習障害
発症する程度は人によって様々で、軽度である場合から重度の障害となるケースもあると言います。
では、何故障害は起こってしまうのでしょうか。
知的障害の原因
知的障害の原因には、まだ解明されていないものも多くあります。
現在分かっている部分での原因は大きく2つに分けられ「内的原因」と「外的原因」となっています。
内的原因
内的原因は、遺伝子異常や染色体異常によって起こります。
これらは子どもが胎児の時に発生し、生まれつきの障害となります。
実は知的障害の約8割が、この様に出生前に発症していると言われているのです。
内的原因で起こる知的障害では、ダウン症やてんかん等が多いとされています。
外的原因
外的原因は、出生前後の事故や環境により起こります。
例えば出産時のトラブルでの感染症や頭蓋内出血等も、外的原因となってきます。
それに加えて、出産前に母体から摂取してしまう事になった薬物やアルコール、感染性の菌等も原因となってくるのです。
知的障害の分類
様々な原因で起こる知的障害ですが、その重症度は4つの程度で分類されています。
軽度知的障害
一番軽度な知的障害で、大人になっても気付かない人もいると言います。
知的障害者のうち約80%はこの「軽度知的障害」であるとされており、日常生活はほぼ問題なく送れます。
中度知的障害
知的障害者の約10%となる「中度知的障害」は、コミュニケーションは取れるものの言語や運動能力において遅れが見られます。
訓練をすれば日常会話や集団生活は可能となり、簡単な作業であれば働く事も可能です。
重度知的障害
重度知的障害では、単語での会話が可能な状態です。
訓練をすれば自分の身の回りの事はできる様になりますが、日常生活において周囲のサポートは欠かせません。
知的障害者の約4%が、この重度知的障害に当たります。
最重度知的障害
知的障害の中で一番重い症状で、全体の1~2%を占めると言われています。
言葉はほぼ話す事ができず、運動能力もほとんどないとされています。
しかし訓練次第では、単語等での会話が可能となる事もあります。
最重度知的障害では身体的な麻痺を伴っている場合も多くあり、寝たきりというケースも多いとされています。
障害は遺伝する?遺伝する確率は?
親が障害を持っていた場合、子どもにも障害は遺伝してしまうのでしょうか。
確かに、遺伝する可能性のある障害も確認されています。
遺伝子や染色体の異常により起こる障害は、健康な両親から生まれた子供でも起こり得る事です。
また両親や親族が障害を持っていても、子どもが障害を持っていない状態で産まれてくる事もあるのです。
ちなみに脆弱X症候群や単一遺伝疾患と呼ばれる障害は遺伝する可能性があると言われています。
しかし、障害のほとんどが「突然変異」によって起こるとされています。
そのため遺伝する可能性はあったとしても、その確率は健常者と大差はないと言えるのかもしれません。
上の子が障害を持っていたら下の子も障害児になる?
親族や両親が障害を持っていても、子どもが障害児になる可能性は100%ではありません。
同様に、上の子が障害児だからと言って下の子も障害児になるとは言い切れないのです。
兄妹での遺伝確率については、まだしっかりと解明されていない部分ではあります。
しかし発症する可能性は、やはり大差がないと言えそうです。
男の子の方が障害児になりやすい?
知的障害者の男女比は、1.5:1とされています。
男性の方が、若干障害児になりやすいという結果になっていますね。
しかし、この原因もはっきりとは解明されていません。
また知的障害の中でも、ダウン症は男女比に差はないとされています。
この事から、男の子の方が障害者の割合が多いのは出生率自体が高いからではないかとも言われています。
男の子の方が障害児になりやすいというのは、今のところあまり信憑性がない様ですね。
検査方法はある?
知的障害には程度も様々ありますし、まだ幼い子供では一概に障害があると判断できかねない部分がありますよね。
そこで、障害を検査する方法を時期別に見てみましょう。
胎児期の検査方法
出生前となる妊娠中でも、障害の有無を検査できる様になっています。
しかしその結果は確実ではなく、障害の程度も分かりません。
つまり検査をして「障害の可能性あり」と出たとしても、実際障害のない子供が産まれる可能性も多いにあるという事なのです。
これらの検査は、妊娠中の母親の血液や羊水を採取して検査していきます。
主にダウン症などの染色体異常について、調べる事ができます。
また検査できる時期は非常に限られており、検査ができない医療機関もあるので予め下調べが必要となります。
幼児期の検査方法
幼児期では、知能検査や発達検査が一般的となっています。
検査方法は医療機関によって様々ですが、質疑応答やMRI等の検査を行います。
基本的には1年に1回程行われ、その重症度も検査により判定されます。
またこの検査によって、障害児として認定されるかどうかが決まってきます。
日常生活で簡単にチェック!
もしかして、うちの子は障害があるかも?
そんな不安を抱える両親は、まず下記の項目についてチェックしてみましょう。
- 記憶力が極端に弱い
- 理解や言葉での表現がうまくできない
- 簡単な動作に、毎回とても時間がかかる
- 少し注意しただけですぐパニックを起こす
- 自分の気持ちを伝えない
但しこれらは知的障害者によくある行動をまとめたものですので、当てはまるからと言って必ずしも障害があると断定できるものではありません。
最終的な判断は、必ず医療機関でしっかりと検査を受けていきましょう。
障害に対する正しい理解が大切!
障害は、いつ誰に起こってもおかしくありません。
ここまで先天的な知的障害を中心にご紹介してきましたが、事故や病気によりある日突然障害を持つ事になる可能性もあるのです。
また自分自身だけでなく、身近な周囲の人が障害を持つ可能性もある事をしっかりと認識しておかなければなりません。
そして障害に対する偏見や間違った知識を捨て、正しく理解していく事が大切なのです。
知的障害者の約80%は軽度知的障害で、日常生活には支障のないケースとなっています。
しかしやはり何らかの場面では、周囲のサポートが必要となってきます。
そうした時に周囲が温かい対応をする事ができれば、障害があっても生きやすい社会となっていく事でしょう。
また障害がある相手に対しては、下記の事に気を付けて接していくと良いとされています。
- 分かりやすい言葉でゆっくり伝える
- 急かさずに、出来るのを待つ
- 曖昧な表現をせず、はっきりと伝える
- 得意なものは、とことん褒めて伸ばす
こうしたちょっとした配慮があるだけでも、障害を持つ人にとっては大変居心地が良いと言われています。
そして我が子に障害があると分かったら、支援センター等に相談して一人で抱え込まない様にしていきましょう。
障害を持った子供を育てるのは、親にとっても大変な事です。
専門の知識を有する人に助けてもらったり、専門の施設で訓練してもらうのも良い方法です。
障害の程度によりますが、訓練により出来る事は増えていく可能性が高いのです。
こうして支え合っていく事も、障害を持つ人をサポートする上で大切な事なんですね。
まとめ
最近では、妊娠中に障害の有無を調べて障害の可能性がある場合は中絶するという両親もいると言います。
しかし障害には様々な種類があり、特に知的障害の8割は軽度なものであるとされているんです。
また妊娠中の検査で陽性が出たとしても、子どもが必ず障害児となる訳ではありません。
障害児が産まれる確率は、母親の年齢によりますが21分の1~1250分の1となっています。
実は、この15年程の間でダウン症と診断された子供は約2倍に増えていると言われています。
この背景には、女性が社会で活躍して出産がどんどん高齢化している事も理由の一つとされています。
しかし確率こそ大きく違いますが、遺伝子異常は誰にでも起こり得る事なのです。
外的原因は避ける事は可能ですが、内的原因はなかなか防ぐ事ができないのが実情です。
だからこそ、障害に対する正しい知識と対応が必要なのです。
決して他人事ではない、障害。
例え障害を持っていても、誰もが生きやすい社会を作っていけると良いですね。