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瞑想とマインドフルネスの違いとは!効果的な方法や呼吸法・時間は?

能力開発や集中力アップなど様々な効果が期待されているとして話題のマインドフルネス

社員研修公式プログラムに正式採用されている他、テレビでの特集が組まれていたりするので、気になっている人も多いのではないでしょうか。

マインドフルネスを日々の生活に取り入れることで心の状態が安定し、個人が本来持っている潜在能力を効果的に引き出せると言われています。

こちらの記事では、マインドフルネスのメリットや、日常生活に無理なく取り入れるための効果的なやり方、瞑想との違いなどに触れつつ詳しくご紹介していきます。

そもそもマインドフルネスとは?


「マインドフルネス」という言葉を調べてみると、

「現在起こっている内面的・外面的な経験に注意を向ける心理的過程であり、瞑想などによってトレーニングすることができる」といった説明がされていることが多いようです。

ただ、この説明だけでは具体的なイメージはしにくいでしょう。

ここではまずはじめに、マインドフルネスの基本的な意味と、どのようにして世界的な注目を集めるようになったのかについてご紹介しましょう。

マインドフルネス=「今の時間」に全力を注ぐこと

マインドフルネスという言葉がイメージしにくいのは、この言葉が様々な意味を同時に含んでいるためです。

マインドフルネスに含まれる意味

  • 気づき
  • 自覚
  • 集中
  • 覚醒

以上のように様々な意味を含んでおり、意識が集中した状態のことを指します。

意識が何に対して集中しているのかといえば、それは「いま・この瞬間」に対してです。

マインドフルネスとはまず、いま・この瞬間に全力で意識を注ぐことだと覚えておきましょう。

マインドフルネスになることは簡単ではない

現代社会では特にいま・この瞬間に意識を全力で注ぐことは容易ではありません。

来週の会議でのプレゼン発表を不安に思っていたり、以前に失敗してしまったことについてあれこれ思い悩んだり。

今この現在の瞬間に対して全力で意識を向けている方が少ないと言えるでしょう。

このことは、マインドフルネスの対義語であるマインドレスネスという言葉を考えるとよりしっくりくると思います。

マインドレスネスとは、集中力欠如、曖昧さ、注意散漫などマインドフルな状態とは反対の心理状態のことです。

いま・この瞬間に全力で意識を向けることが出来ない状態、つまり、未来と過去に現在を浪費してしまっている状態は、マインドフルな心理状態ではないのです。

マインドフルに生きることで、心理的に豊かになる

マインドフルネスがなぜ、いま・この瞬間に対して全力で意識を注ぐことを重んじるかというと、私たちはたった今この瞬間にしか真に生きることができないからです。

過去はもう過ぎ去っており未来はまだ来ていない。

過去も未来も私たちの力の及ぶ範囲の外にあって、私たちに可能なのは現在を全力で生きることだけ、ということだからです。

いま・この瞬間に意識を集中して生きることで、より充実した生き方ができるようになるのです。

私たちが自由にできる現在をマインドフルに生きることで、私たちは自分の可能性や潜在能力に気づくことができ心理的に豊かになるのです

マインドフルネスの代表的な効果とメリット


マインドフルな状態でいることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

実践する効果やメリットについては数多く報告されていますが、ここでは代表的な効果としてストレスの軽減・記憶力と意思決定能力の向上について簡単に触れておきましょう。

ストレス軽減効果

マインドフルネスは、マサチューセッツ大学医学部のマインドフルネスセンター所長を務めるジョン・カバットジン博士により初めて提唱された言葉です。

また、ヨーガや瞑想の技法を取り入れたストレス軽減プログラムとして開発されました。

現代は仕事や家庭、それらの人間関係などで多くのストレスにさらされる、リスクの高い時代だと言われます。

ストレスは、不安や心配・疑いや怒りなど、私たちのネガティブな感情として体験される心理的な刺激といえます。

マインドフルネスはこれらの心理的ストレスに対して気づき、それを否定せずありのままに受け入れること、つまり自己受容することでストレスに対処します。

マインドフルネスは有効な心理療法

マインドフルネスがストレス軽減方法として有効であることは、マインドフルネスが認知行動療法などの心理療法に取り入れられていることからも分かります。

現在では、不安障害や強迫性障害などへの有効な心理療法としても評価を高めつつあります。

もちろん、なんらかの精神的な病を抱えている人ばかりでなく、日々ストレスにさらされて憔悴している数多くの現代人にとっても、有効なストレス対処法であることは言うまでもありません。

能力開発研修にも利用されている


マインドフルネスはストレス軽減方法としてだけでなく、個人が持っている潜在能力を最大限に引き出すトリガーとして、ビジネスの現場でも実践されています。

例えばGoogle社の幹部社員向けの研修プログラムの一つに「Search Inside Yourself」(SIY)というプログラムがあります。

これは、マインドフルネスをビジネスの現場に応用した典型的な例とされています。

このプログラムでは、5つの要素からなる「心の知能指数」つまり、

  • 自己認識
  • セルフコントロール
  • モチベーション
  • 共感
  • コミュニケーション

以上の要素を高めるためにマインドフルネスが応用されています。

インテルやゴールドマンサックスなどの大手企業でも、マインドフルネスをベースとした研修プログラムが実施されています。

このように、ビジネスの現場で個人が持つ潜在能力を最大化させるのにも有効なのです。

マインドフルネスと瞑想の違いとは?


さて、ここまでマインドフルネスの基本的な意味合いから様々なシーンでのメリットについて簡単にご紹介してきました。

ここで一つの疑問があります。

それは、マインドフルネスは瞑想と似たようなことを実践しますが、マインドフルネスと瞑想は何が違うのか、ということです。

では続いて、その違いから、マインドフルネスの持つ独自性についてご紹介していきましょう。

マインドフルネスと瞑想の共通点

まず、マインドフルネスと瞑想の両方に共通している要素を見てみましょう。

マインドフルネスと瞑想に共通すること、それは、どちらも私たちの心の状態に関係している点にあります。

両者とも心の状態を安定させ、落ち着かせる作用があります。

マインドフルネスも瞑想も、基本的には現在の心の状態に向き合い、心を正しい状態に導くことを目指しています。

マインドフルネスと瞑想の相違点

マインドフルネスと瞑想が決定的に異なるのは、心の状態と向き合うことにおいて、宗教的な要素が介入するか否かという点です。

瞑想は、宗教的な実践として理解されることが多く、仏教では瞑想を基本的な修行と見なし、最終的な悟りに到達するための方法として説かれます。

またキリスト教の瞑想においても、仏教と同様です。

その宗派によって目的は異なるものの、宗教的な実践として位置づけられています。

マインドフルネスは瞑想から宗教的な要素を差し引いたもの


このように、マインドフルネスと瞑想はそれぞれ心の状態に注意を向ける実践という共通点はあるものの、瞑想はある宗教的な世界観を前提とした実践であるという特徴があります。

それに対して、マインドフルネスは、瞑想において見られるような宗教的な世界観を前提としません。

マインドフルネスの考え方は上座部仏教の瞑想方法をベースとしています

そこで目指されているのは、宗教的な悟りの境地へ至ることで解脱を目指すものでもなければ、神との神秘的な合一を目指す陶酔体験でもありません。

マインドフルネスは、その実践において宗教的な要素を差し引いた、現在の心の状態に注意を向けた実践なのです。

どんな宗教・宗派でもマインドフルネスは実践できる

マインドフルネスはある特定の宗教的世界観を前提としていないので、いかなる宗教・宗派であっても実践できます。

現在様々な国でマインドフルネスのリトリート(集団で行う集中瞑想)が開かれていますが、そこには仏教徒もキリスト教徒もイスラム教徒も様々な宗教、宗派の人たちが集まります。

マインドフルネスは宗教的にボーダーレスであると言えるでしょう。

瞑想の持つ効果を、洞窟や境界の中だけでなく社会のあらゆるところに転用させる営み、それがマインドフルネスのアイデンティティなのではないでしょうか。

マインドフルネスの呼吸法と実践方法・時間

早速やってみたいと思った方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、マインドフルネスの実践法というと、どこか難しいイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、これから初めてマインドフルネスを試してみようとする方にとって、意識しておきたいポイントについて簡単にご紹介しましょう。

マインドフルネスは呼吸法をベースとしている

マインドフルネス瞑想法については、こうしなければならないという厳密な規定はなく様々なやり方がありますが、どのやり方でも呼吸法をベースとしています。

呼吸法というと難しく聞こえがちですが、基本的には以下のようにシンプルな方法で誰にでもできます。

体の力を抜いて楽な体勢で座る

マインドフルネス瞑想では、座り方にも特に明確なルールはありません。

座禅のように地面に直接座ってもいいですし、椅子に座っても構いません。

ただし、いずれにしても体の筋肉の緊張をほぐし、自分が楽に思える体勢で座ることが重要です。

腹式呼吸を意識する

リラックスした状態で座ることができたら、後は呼吸法に意識を注ぎ続けます。

普段、呼吸は無意識的な活動で意識することはあまり多くありませんが、マインドフルネスでは吸って吐いて、また吸うのを繰り返すプロセスに意識を注ぎます。

具体的には、空気が鼻から入り体内に酸素が充満する感覚、口から空気が出て力が抜けて行く感覚に意識を集中します。

かける時間は人それぞれ楽に感じる時間で良いですが、5分〜15分ほどが取り組みやすいでしょう。

呼吸から注意が外れてもまた戻す

マインドフルネスの呼吸法を実践しているとまずはじめに感じるのは、呼吸のプロセスに集中することは簡単なようで難しい、ということではないでしょうか。

人の会話に注意がそがれたり、空腹や眠気など集中が途切れたり、現在の意識を呼吸にだけ集中することは思っているほど簡単ではありません。

ただし、マインドフルネスの瞑想では、意識が呼吸から外れることは問題ありません。

自分には集中力や素質がないと落ち込まず、意識が外れたこと自体を意識化することもマインドフルな状態なのです。

まとめ


さて、マインドフルネスとは何かという問いから、様々な分野での効果効用について、呼吸法から実践法についてご紹介してきました。

マインドフルネス関連の書籍など様々刊行されていますが、その真価は自分自身で体感することでしか分かりません。まずは自分自身で体験してみることが大切です。

この機会にマインドフルな生活の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。