紙をさわると汗でしなり、携帯の画面は汗で反応しない。
人と手を触れるようなことがあればとっさに避けてしまう…これは手汗がたくさん出てしまう人が多く抱えている悩みです。
今回はなぜ手汗がでるのかという原因をはじめ、手汗を抑える方法やおすすめの制汗アイテムをご紹介します。
目次
手汗のタイプ
手汗には、自然に出る一時的な汗2タイプと病気で異常にせてしまう汗1タイプの、合わせて3つのタイプがあります。
自然に出る一時的なタイプは日常生活で治せることもありますが、病気のタイプは治療が必要になってくる場合もあるので、まずは自分がどのタイプの手汗なのかチェックしてみてください。
温熱性発汗のメカニズム
温熱性発汗は、暑い時や運動の後にかく汗で体温を調節するために行われる発汗です。
汗をかくくと、汗の水分が蒸発する時に気化熱を奪うことで体温を下げる、という働きがあります。
人間の体は体温が42度以上になると命の危険に関わるため、脳の視床下部というところで体温を下げる司令を出すことで全身から汗をかくのです。
精神性発汗のメカニズム
精神性発汗は緊張や不安状態の時にかく汗でプレゼン中や大事な予定の前、面接時にかく人が多いと言われています。
手だけでもなく、脇も同時に汗をかく傾向があります。
この汗は、緊張や不安を抱えるとアドレナリンが分泌され、このアドレナリンが交感神経を刺激することで発汗につながります。
この精神性発汗は感情によるものなので個人差はありますが一時的なものであり、リラックス状態に戻るとおさまることがほとんどです。
病気「手掌多汗症」のメカニズム
手掌多汗症は、多汗症という病気の中の特定の場所にだけ多く汗をかく局所多汗症の一つです。
先ほど説明した精神性発汗のメカニズムである交感神経の刺激が常に起こっていることが原因と言われていますが、はっきりとしたことはわかっていません。
手掌多汗症には3つのレベルがあります。
【タイプ別】手汗が出る原因
手汗がでるのは主に交感神経が何らかの原因で優位になってしまっているからと言われています。
まだまだ確実にわかっていないことがたくさんある手汗の原因ですが、ここでは一時的な精神性発汗と病気の手掌多汗症の原因をご紹介します。
精神性発汗の原因
精神性発汗は一時的な感情によって交感神経が優位になることで、エクリン腺という汗腺から汗が出てきます。
緊張や普段を抱きやすい環境に多くいることや、少しの環境でもとても緊張や不安を感じてしまう性格であることが原因で精神性発汗を起こしやすいと言われています。
また、汗をかいた時「臭くないかな?」「服にしみてないかな?」などの不安要素が交感神経を優位にさせてしまい、また汗をかく、という悪循環に陥っていることも原因の一つです。
手掌多汗症の原因
手掌多汗症は、残念ながら原因がはっきりとはわかっていません。
しかし、多く言われているのは交感神経が常に優位になる行動が原因になっていると言われ、生活習慣の乱れも手掌多汗症に繋がると考えられています。
一般的に言われている手掌多汗症になる原因は以下のようなものです。
- ストレスを抱えている
- 緊張や不安が続いている
- 過度な飲酒喫煙を行なっている
- 偏った食生活で栄養不足である
- コーヒーをよく飲む
- 睡眠不足である
手汗を抑える方法3選

絶えずじわじわとかいてしまう手汗に、まず実践したい方法を5つご紹介します。
お金をかけずに出来るものばかりで、一時的に汗を止めると言われている方法です。
手汗をじんわりかいてしまう人や、一時的にかいてしまう人は是非実践してみてください。
制汗作用のあるツボを押す
ツボは、手汗の原因となる
- 緊張
- 不安
- とにかく汗をかく
といった状態を緩和してくれる役割があります。
ここでは3つのツボをご紹介します!
労宮(ろうきゅう)
手のひらのちょうど真ん中に位置します。
緊張や不安を抱えていることが原因でかいている手汗に効果のあるツボです。
労宮は押すことでリラックス効果があるので気分を落ち着かせたいときに押してください。
深く息を吸いながら、ツボを5秒ほど押しゆっくりと5秒かけて離しましょう。
合谷(ごうこく)
手の甲の親指の付け根と人差し指の付け根の間に位置しています。
体の代謝を整えてくれる役割があるので、きちんとした原因はわからないけれど発汗を抑えたいという人にオススメのツボです。
反対側の手の親指で5秒かけて押し、5秒かけて離すセットを5回ほど行いましょう。
復溜(ふくりゅう)
両足の内側のくるぶしとアキレス腱の真ん中から4cm程上に位置しています。
体内の水分の代謝を整えてくれるので、汗腺から出る汗の量のバランスを調整する効果があります。
座りながら、手の親指でゆっくりとマッサージするように押しましょう。
ミョウバン液を作って塗る
病院などに行くと塩化アルミニウム下用制汗を処方されることがありますが、ミョウバン液にはその塩化アルミニウムと同じ効果があると言われています。
材料
- 空の500mlペットボトル
- 水500ml
- 焼きミョウバン20g
作り方
- ペットボトル100mlの水に焼きミョウバンを入れる
- 残りの400mlの水をペットボトルに入れる
- 上下によく振る
初めはミョウバンが浮いていますが、1〜2日で溶けるので、完全に溶けきってから使用しましょう。
使用する際は、空のスプレー容器に入れ、10倍に薄めてから使います。
ミョウバン液10mlと水道水100mlをスプレー容器に入れ、よく振ってください。
薄めたミョウバン液を手のひらひ吹き付け、乾くのを待ちましょう。
皮膚が弱い人はかぶれる場合もあるので一度テストをしてから常用するようにしてください。
半側発汗法を行う
汗を止める方法のうち、即効性のあるものがこの半側発汗法です。
体の一部分を圧迫することで、気になる部位の汗を減らし代わりに反対側の部位から発汗させる方法です。
舞妓さんは半側発汗法で顔から汗をかかないようにするため、帯で上半身圧迫していると言われています。
圧迫する部位は「脇の下」です。
両手の汗がきになる場合は両脇の下を指で押して圧迫しましょう。
手汗を抑える薬や制汗剤6選

手汗の程度によっては、上記の方法では効果がみられないこともあります。
その場合は、市販薬や病院で処方してもらえる薬を使ってみてください。
病院で薬を処方してもらう
手汗がひどい場合は皮膚科へ行くと薬が処方してもらえます。
ただし、病院や症状によっては処方されない場合もあります。
どうしても、というときは医師に相談しましょう。
プロバンサイン
交感神経遮断薬という飲み薬で、プロバンサインというのは商品名です。
体から汗を出すために働く「アセチルコリン」という神経伝達物質を遮断してくれる薬で、服用後20分~1時間で手汗が止まります。
持続時間は5時間ほどです。
しかし、即効性と効果が期待できる反面、以下のような副作用もあります。
処方された場合には、医師の注意をしっかりと聞いた上で服用しましょう。
- 喉が異常に乾く
- 便秘になる
- 頭がぼーっとする
パースピレックス
病院で処方してもらえる塩化アルミニウム水溶液が、このパースピレックスです。
塩化アルミニウム水溶液を塗ることで、手のひらの汗腺にあるタンパク質を固めてくれるので、汗腺が詰まった状態になり汗が止まるメカニズムになっています。
市販での塩化アルミニウム水溶液は買えますが、このパースピレックスは25%と濃度が高いのが特徴です。
皮膚が弱い人は刺激に感じる場合もあるので、医師に相談の上使用してください。
また、刺激を感じた場合は濃度を薄めると使用できることがあります。
薬局で買える市販薬を使う
ここで紹介する2つの市販薬はどちらも塩化アルミニウム水溶液という塗り薬タイプです。
オドレミン
1本25mlで1000円前後の塩化アルミニウム水溶液です。
市販薬ですが13%と濃度が高いので、普段から手汗がきになる人は一度試してみてもいいかもしれません。
個人差はありますが、1回塗ると3日前後効果が持続します。
テノール液
1本30mlで500円前後の塩化アルミニウム水溶液です。
病院で処方されるパースピレックスや、市販薬のオドレミンに比べると濃度が低く、3.9%となっています。
手汗をよくかき困っている人にとっては効果が見込めないかもしれませんが、敏感肌や皮膚への刺激を抑えたい人にはオススメの市販薬です。
制汗剤で抑える

制汗剤には、
- パウダータイプ
- クリームタイプ
の2つがあります。
手汗を止めたい場面での使い分けや、好きなテクスチャによって両方使いしている人も多いのだとか。
即効性を期待するなら断然「ファリネ」がオススメです。
パウダータイプ「ファリネ」

即効性と制汗効果の2つが期待できるパウダータイプの制汗剤です。
パウダーなので、つけた瞬間から手のひらのサラサラを実感できるのが嬉しいところ。
日本で生産されておりアルコールやパラベン不使用なので、手に優しい制汗剤です。
スキンケア情報メディアの「スキンケア大学」や多くの美容雑誌で紹介されているので安心して使うことができます。
クッションを手のひらにつけるだけの簡単な使用方法なので時間がない時や、面倒くさいのはちょっと…と思っている人にぴったりです!
クリームタイプ「テサラン」
クリームタイプなので、ハンドクリームのような感覚で使うことが出来る制汗剤です。
天然由来成分が配合されているので敏感肌の人や子供にも使える優れもの。
何と言ってもコストパフォーマンスがよく、1本で約3ヶ月持つので(個人差はあります)、1日あたり約45円で使えるので普段使いにもってこいです。
手術で手汗を抑える方法3選

病院で処方してもらった薬や市販薬が効かなかったり、長期的に手汗を止めたい場合は手術をすることも手汗を抑える方法の1つです。
ここでは皮膚科や形成外科で多く行われる3つの方法をご紹介します。
ボトックス注射
ボトックス注射は、ボツリヌス菌を使って発汗の原因となる交感神経をブロックするものです。
ボツリヌス菌はA型ボツリヌス毒素とも呼ばれ、汗が出るときに「汗を出せ!」とアセチルコリンという神経伝達成分が交感神経から放出されるのを抑えるため、手汗を止めることが出来るというメカニズムです。
効果持続は個人差はありますが、3ヶ月〜半年持つといわれています。
永続的な治療法ではないので、定期的にボトックス注射を打つことになります。
費用は、病院によりますが、1回で5万〜10万円ほどかかります。
なお、健康保険が使えないため全額自己負担はおろか、高額療養費制度の適用もありません。
ただし、目立った副作用や注射後の生活への支障がないことから、比較的安全性の高い治療法として多くの病院で施術されています。
イオントフォレーシス
皮膚科へ行くと受けることが出来るこの治療法は、水を張った容器に手を入れ、弱い電流を流すことで汗腺の働きを緩和し手汗を抑えるものです。
約20分ほどで行える治療法なので、仕事帰りや休みの日に手軽に受けに行くことができます。
効果持続は個人差はありますが、1週間に1回、2週間に1回の施術を1年間にわたって行う必要があります。
費用は、健康保険が適用されるため、1回あたり約600円で行うことができます。
診察台は別料金になりますが、週に1回の通院で約3万円ほどになります。
日本人が開発した手汗に悩む日本人のための治療法で効果を実感する人が多く、副作用がないことがメリットです。
胸腔鏡下交感神経節遮断術
これまでに紹介したどの方法でも手汗に効果がない時の最終手段として施術されることが多いこの手術は、発汗の原因であるアセチルコリンが伝わってくる胸部の交感神経を物理的に切断するものです。
効果持続は半永久的で、健康保険が適用されるので費用は7〜10万円程度です。
また、加入している保険内容によっては生命保険の給付金を受給できることもあるので事前に確認しておくと良いでしょう。
ただし、副作用として手ではない別の場所から発汗するようになる代償発汗や、辛いもの以外の物を食べたときにも発汗してしまう味覚性発汗になる人も多いと言われています。
副作用に困ったからといって、一度切断してしまった交感神経を元に戻すことはできないので、十分に医師と相談してからの施術をオススメします。
手汗を根本から抑える対策4選

制汗剤を使ったりしても汗が出るときは出てしまいます。
そんな時は、一度生活習慣を見直して見てはいかがでしょうか。
何気無く生活をしていると知らず知らずのうちに交感神経を過剰に刺激している場合があります。
ここでは日常でできる交感神経を刺激しない対策方法をご紹介します。
食事を変える
交感神経は食事からも刺激されることがあります。
辛いものやカフェインがそれに当たります。
辛いものや香辛料、カフェインは交感神経を興奮させる働きがあるため発汗作用があります。
また、動物性脂肪を含んだ食べ物や乳製品は体温を上げて発汗に繋がるので控えましょう。
積極的に摂りたい食べ物は、大豆製品です。
大豆製品に含まれるイソフラボンには交感神経の興奮状態を抑えるエストロゲンを活性化させる働きがあるため、発汗を抑えることができます。
質の良い睡眠をとる

睡眠不足や長く寝ているけど浅い眠りばかり、という人は自律神経が乱れる傾向があります。
質の悪い睡眠は翌日に交感神経が優位になることが多く、発汗に繋がってしまいます。
質の良い睡眠は入眠後3時間の間に深い眠りにつくことだと言われています。
人間は体が温まって冷めていくときに徐々に眠くなるので、寝つきが悪い人は寝る30分前に
- 足湯
- 湯たんぽ
- 半身浴
などで体を温めましょう。
また、携帯やパソコンの画面はなるべく見ずに、目を休めた状態で眠りに着くのも質の良い睡眠をとるためのポイントです。
過度な喫煙を控える
タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり、交感神経が優位になるため発汗しやすくなります。
いきなり止めることは難しいかもしれませんが、汗が気になったら本数を減らしてみましょう。
リラックスする
汗を異常にかいてしまう人にはストレスの解消方法や不安との上手な付き合い方を出来ていない、ということがあります。
人によってリラックス方法は様々ですが、
- アロマ
- 読書
- ヨガ
などで心を落ち着かせる環境を作ってみてください。
リラックスとすると交感神経の対である副交感神経が優位になるため汗をかきにくくなります。
手汗を抑えるなら薬や制汗剤を活用しよう

生活習慣の改善では効果が見込めるかわからないし時間もかかりそう、でも手術はお金もかかるし副作用も気になる…。
そんな人は一度薬や制汗剤で様子を見て見ても良いかもしれません。
比較的安価で即効性のあるファリネなら、気になる手汗をピタッと止めて日常生活での手汗の心配を改善してくれますよ!